最近の「国語」は昔と違う!?

最近の「国語」は昔と違う!?

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「『中3男子、記念日に彼女に何かプレゼントしたい。ネックレスはどうか』という某掲示板にあった相談に、どう返事するか?」某有名女子高に通う生徒さんに出た国語の問題です。

彼女は、今までとは全く違う国語の問題に首をひねるばかり。これって国語なの?
早速、彼女に、国語とか問題だとか、度外視して考えた時、なんて返事するのか、聞いてみました。
「引くからやめた方がいい」
「・・・『引く』を言い換えられる?」
「うーん、きしょい?」
「・・・・・・」
まさに、国語力、表現力、思考力が足りない。

では、どうやって考えるのか。まずは分析という方法を教えます。
『中3男子、彼女に何かプレゼントしたい。ネックレスはどうか』
これは、三つの部分に分けられます。
①中3男子、
②彼女に何かプレゼントしたい。
③ネックレスはどうか

そして、ひとつひとつ分析を始めます。自分の意見が出ない場合、OK、ダメ、両方の理由を考えてみることにします。
①中3であることに問題はないか。
〇好きな人ができること、プレゼントしたい気持ちになることに、年齢は関係ない。
×中3はまだまだ未成年。お小遣いがあっても、それは文具などの必要なものに使うべきで、彼女へのプレゼントのために使うのはよくない。
②彼女にプレゼント
〇きっと喜んでもらえる。愛情表現の一つ。
×ものによっては、気を使う。困ることもある。
③ネックレス
〇女の子はアクセサリーは嬉しい。
×アクセサリーは女性にとって特別なもの。もらうことに特別の意味を感じるので、気軽な中学生のお付き合いには重苦しい感じがする。好みではないものをもらっても困る。

こんな感じの返事をもらいました。
論述として書くなら、これで材料は十分そろいました。

「私は、表題の件について、プレゼントしない方がいいと思います。確かに、好きな人に何かプレゼントしたい、喜んでもらいたいと思うことは、自然なことですし、好きだという気持ちを伝えることは大切だと思います。しかし、まだ中3では自由になるお小遣いも親や他の大人の人からもらっている状況です。付き合っている人へのプレゼントのために使ってはいけません。それに、プレゼントの内容も問題です。女の子はアクセサリーは何でも嬉しいと思っているかもしれませんが、指輪やネックレスではどうしても特別な意味があります。もらうことでどうしても重苦しい感じがしますし、好みでないものだったらなおさら困ります。だから、ネックレスのプレゼントはやめるべきでしょう。」

しかし、これは掲示板への返事。相手に受け入れてもらえる工夫が必要です。

「好きな人に好きだという気持ちが伝わるのは素敵なことだと思います。プレゼントすることで喜んでもらいたいというあなたの気持ちが伝わるといいですね。でも、ネックレスをあげるのは、もう少し後の方がいいのではないでしょうか。まだ中3では親や他の大人の人からもらっている自由になるお小遣いも少ない状況です。付き合っている人へのプレゼントは自分の自由になるお金ができてからの方が予算も充分に取れるし、喜ばれるでしょう。女性の立場から言わせていただくと、プレゼントの内容も今は別のものの方が無難だと思います。女の子はアクセサリーは何でも嬉しいと思っているかもしれませんが、指輪やネックレスには特別な意味があります。もらうことで気軽な中学生のお付き合いの域を超えてしまい、どうしても重苦しい感じがし、困ってしまうかもしれません。だから、ネックレスのプレゼントはやめ、別の気軽なものをあげるのはいかがでしょうか。お二人、なかよく楽しく記念日を過ごしてくださいね。」

ここまで表現力があれば、高1としてはなかなかのものかな。

一緒に分析していると、こうした問題は深く考えていくにつれて、自分自身のこととしてとらえて真剣に考え、言葉を選んでいく生徒の姿が見えます。一見、なんだこれ?と思うようなこの設問、まさに国語の問題でした。実は新傾向の入試はこのような問題が出されると予想されています。これからを生きる子どもたちは、よい教育を受けているなぁと感心します。

国語力は、直観的な気持ちだけでなく、一つ一つ分析し、自分で思考する力と、それを表す言葉を持つことになり、多くの人とつながり、よい人生を送るのに欠かせないものです。本当の国語力を磨きましょう。